今の職場を辞めたい・転職したいと考えている助産師へ

 

もしあなたが助産師を辞めたい、転職したいと思っていたら…実際に行動に移す前に、一度、自分と向き合ってみることが必要です。

 

【辞めたい理由を客観的に分析する】

辞めたいと思うには、いくつか理由があるはずです。思いつく限り挙げて紙に書いてみましょう。激務による心身の疲労や低い給与、人間関係のストレス、自己効力感の低下、理想の助産とほど遠い現状…その多くは否定的な理由ではないでしょうか。一通り書き出したら、ひとつひとつについて分析します。ポイントは「客観的に見てどうか」「自分に出来る解決方法を試したか」「辞める・転職以外の方法はないか」の3点です。

 

感情的になっている場合、書くことで冷静に見つめ直すことが出来ます。例えば同僚の態度への不満であれば、自分と同僚の態度やその時の状況を客観的に振り返り、どうすれば良かったか考え直すことが出来ます。家庭との両立が難しいのであれば、家族と家事の分担について話し合ったり、勤務先に異動やパートへの切り替えを申し出たりするなどの方法も考えられます。各項目に沿ってひとつひとつ検討していきましょう。

 

【継続・離職・転職した場合のメリット・デメリットを考える】

理由の分析が済んだら、今後の選択によるメリット・デメリットも検討しましょう。一般的には次のような点が挙げられます。

 

@現在の職場で継続する
この場合、生活や給与は変わりません。変わらないということはメリットにもデメリットにもなり得ます。キャリアを継続することが出来、一か所で長く勤めることは社会的信用につながることはメリットと言えるでしょう。
A休職・離職する
休職する場合には就業規則によって期間や給与の扱いが定められており、通常は無給です。冷静になりつつ戻れる場所を確保出来ますが、復職へのプレッシャーをは受けることにはなるでしょう。離職の場合には退路を断つことになり、年金や保険などの手続きも煩雑となりますが、復職への時間的制約はなくなります。
B転職する
環境を変えることで問題が解決する場合には最も適した方法です。生活が変わり新たな業務や人間関係に慣れる必要があり、また勤務しながら転職活動を行うことによる負担があります。

 

【転職する際の注意】

もし転職という選択をするのであれば、最も重要なのは、「何を求めて転職するか」を明らかにすることです。働きやすさ、給与、やりがい、福利厚生など…自分が優先したい、譲れない条件や、逆に妥協できる条件は何でしょうか。求人情報に目を通すよりも先に、自分の条件を固めてから探した方が効率的です。

 

助産師経験が1〜2年と浅い場合、転職理由は最も注目されます。現状からの逃げとして転職を選んだと受け取られやすいためです。きちんと自分と向き合い、転職以外に方法がない場合のみ選択した方が良いでしょう。経験が3〜5年程度の助産師は、体力と一定の経験がありつつ、キャリアアップといった肯定的な転職理由が多いため、多くの転職先で好意的に受け入れられます。5〜10年程度の場合、年齢的に結婚・出産・子育て世代であるために勤務に制限が生じる可能性があります。ある程度勤務に融通が利く転職先を選び、ワークライフバランスを保てることも重要な要素です。10年以上の経験がある場合には、新たな分野へ飛び込み視野を広げるという選択肢もあります。資格取得後にブランクがある場合には、復職支援や教育体制もチェックしておきましょう。

 

【看護師として働きたいと思ったら】

転職を機に助産から離れたい、看護師として働きたいと思っている場合、転職先に助産師と伝えることをためらっていませんか。これはあまりオススメ出来る選択ではありません。

 

転職の際には前の職場の経験を問われることも多く、また同じ地域で働く場合には看護業界の狭さを感じることもあります。隠し通すことは難しく、分かった時には信頼を失うことも覚悟しなければなりません。何より後ろめたさを抱えて働くことにならないでしょうか。また、もし隠し通したとしても、再び助産師として働きたくなった時には転職せざるを得なくなることも考えられます。

 

転職先に助産師であることを隠す必要はなく、助産師であるけれど、看護師として働きたいときちんと伝えましょう。「もったいない」と言われるかも知れませんが、看護師として働きたい理由が「助産師が合わないと思う」というような否定的な理由ではなく、「もっと他科の経験も積みたい」など肯定的な理由なら大丈夫です。看護師として働くには産婦人科では経験のしない看護業務や疾患の知識が必要となります。看護学生に戻ったつもりで新たに勉強し直すくらいの気持ちを持ちましょう。

 

ただし、看護師として働き出してから、「看護師辞めたい!」と思うようなことがあれば、もう後がありませんので、どういう看護師として働いていきたいのかのビジョンは明確にしておきましょう。
助産師の資格を持っているけれど、看護師として働く方が自分には合っているというナースは全国にたくさんいますので、悲観する必要はありません。
看護師として勤務していく中でも、助産で培った経験が活きる瞬間が訪れるはずです。

 

【決めるのはあなた自身】

仕事を辞めたい!と言った時、周りの人に止められる人も多いでしょう。

 

管理者としては人手不足で困る、残されたスタッフは仕事が忙しくなる、寂しくなる、激務を知らない家族や友人からは生命の誕生に立ち会う素晴らしい仕事だから、給料が良いから、一か所で長く勤めることが社会的信用につながるから…など止める側は様々な理由を持ち出します。確かに違った視点の意見を聞いたり、立場の違う相手と話し合ったりすることで自分の意思がはっきりすることもあります。

 

反対されると迷うこともあるでしょう。しかし、あなたの人生を最終的に決めるのはあなた自身です。どんな結論を下すにしても決めたら一旦迷いを捨て、選んだ場での勤務に専念しましょう。迷いながら働くのは、あなたが関わる対象者にとってあまり良いこととは言えません。もちろんまた数年後に同じ気持ちになるかも知れません。それでも良いのです。その時は「あの時ああしておけば…」と後悔することはせず、「あの時は正しい判断だった」と自分の判断に自信を持ちましょう。